みんなの松島の自然美と夏の蔵王高原を見てみよう!

遠刈田温泉旅行記

秘湯マニアさんの旅行記

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旅行記タイトル:松島の自然美と夏の蔵王高原

旅行期間:2005/08/25〜2005/08/28

旅行記の内容:8月25日(木)雨のち曇りのち強雨
今年の夏は再び東北地方にチャレンジすることにした。
一昨年の夏、裏磐梯から猪苗代湖を周り、長野とは違う自然の美しさが結構気に入ってしまった。
昨年はそれに続き蛾々温泉の予約までしたが文子の入院があって行かれなかった。
おまけに、文子が退院後に計画した北海道旅行はどこの宿も最低クラス、という付録までついてしまった。
そこで今年はインターネットで評判の良い宿を探してそこへ泊まることをメインとして、旅の中の1日はいつもどおりキャンプという予定で5月中に計画を立てた。
インターネットの旅館ランキングでは東北地方では一の坊とか御宿かわせみなどが高評価だ。
今回行きたいコースは仙台から蔵王を回りたいので、そのコースから遠いところは対象外だ。
すると蔵王を降りてきた遠刈田温泉に「だいこんの花」という宿がある。
東北地方のランキングでは8位だった。
少々値段は高いが全部離れの宿というのが気に入った。
そのうえ貸し切り露天風呂も沢山ある。
予約もインターネットで可能なので最終日の宿を確保。
キャンプ場は適当なところがなく、仙台からもっと先の牡鹿半島にある家族旅行村というのを予約した。
ところがキャンプ場のあと、松島を周遊して仙台に出て、蔵王を巡って遠刈田温泉まで、というのはどうやっても不可能な距離と時間。
そこでもう1泊追加して3泊4日の旅になってしまった。


旅の出発というのは楽しいもの。
ところが今年はちょうどこの時期に会社が忙しく、前日の24日も、旅行から帰った後の29日も名古屋へ行く、という強行スケジュールだった。
そのうえ台風11号が近付いていて26日に東海から関東に上陸の恐れ、という天候。
雨の中のキャンプになるのかなぁ、と思いつつも、キャンプ道具は前週の日曜日に車に積んであるので当日の朝はそのまま出発。
前回と同様、都内が渋滞する前に首都高を通り抜けたいので4時半出発。
実際には10分ほど遅れての出発になる。
東名、保土ヶ谷バイパス、首都高湾岸線と通って空港中央へ。
しかし羽田も第二ターミナルができたので首都高の入り口から第一と第二に分かれていた。
再来週には北海道へ行くので、この標識を見つけておいて良かった。
新木場から先は前回通っただけなので文子にナビを読んでもらいながら走る。
プラドだからカーナビは付いているが、次のジャンクションを曲がるには右車線にいた方が良いのか左車線にいた方が良いのか分からないので自分で首都高地図を見ながら作ってきた紙のナビだ。
でも幸いに間違えることもなく川口料金所まで到着。
家を出てから東名あたりは雨だったが、ここまで来ると曇り空。
東北道に入って最初のPAは蓮田だが混むので通過。
その先の羽生まで行く。
羽生到着は7時半。
ここでトイレタイムとお握りの仕入れ。
朝早く出た甲斐があってここまでは順調だ。
でも今日の距離は長い。
600?近い距離を1日で走るのだ。
高速道路ばかりだから6時間程度だが一般道だったら1日では走れない距離だ。
東北道に乗ってから雨は止んでいるものの台風情報は刻々と関東上陸の可能性を告げている。
25日夕方に関東で26日明け方には東北が暴風圏内になりそうだ。
東北道は埼玉県と群馬県は短時間で通り過ぎる。
栃木県に入ると渋滞の名所、矢板PAを過ぎる。
那須高原SAに着いた時には少し眠かったがトイレに行くうちに目が覚めてしまった。
やがて白川を過ぎると栃木県を抜け福島県に入る。
郡山ジャンクションで磐越自動車道を分け安達太良SAへ。
ここで車から降りてしまうと眠気が覚めてしまうので直ぐに寝る。
朝早かったせいか直ぐに寝られた。
車を降りて売店なんかを見ていた文子によれば僕が寝ていたのは10分か15分くらいらしい。
でも、寝たおかげで、とてもすっきりとした。
ここで時間は9時半を回っているので今日の宿を確保することにする。
今日持ってきた旅行雑誌に載っている作並温泉の旅館「湯の原ホテル」。
幸いに空いていてすぐに予約することができた。
それからキャンプ場の方にも電話。
こちらは台風に遭遇しそうなので、と言うとあっさりとキャンセルができた。
これでキャンプ場がある牡鹿半島までは行く必要もなくなった。
それに明日は台風で雨の可能性がある。
雨がこのまま降らないようなら今日のうちに松島の観光船に乗ってしまうことにする。
安達太良を出てから福島西インターまでは前回通った道。
ここから先は初めて通る道だ。
国見、白石と過ぎ村田ジャンクションで山形自動車道を分ける。
プラドのカーナビも順調で仙台南インターを出て仙台南部自動車道へ行くよう案内している。
仙台南部自動車道は山中湖の道路みたいに対面通行が多いが一応高速道だ。
この道はやがて仙台東部道路にぶつかり右折すれば仙台空港へ、左折すれば今日僕たちが向かっている松島方面へ行くことができる。
この道は2車線の区間が多かったが途中から再び対面通行になる。
その先で仙台北部道路と三陸自動車道に別れるが松島へは三陸自動車道に入る。
松島海岸というインターがあるのでそこで降りるとETC出口がない。
ETCで入ったので高速の清算カードも無かったが料金所のオジサンがETCカードで精算してくれた。
東北自動車道川口から仙台南だけで7100円だから三陸自動車道などを入れれば9000円近いだろう。
松島海岸のインターを右折すると3?ほどで有名な松島海岸に出る。
途中に町営の無料駐車場があったが遠そうなので海岸まで行く。
海岸に出たところに1日置いても500円という駐車場があったのでそこに入れる。
と言っても民家の庭だった。
でもおばあさんが美味しい食堂なんかを教えてくれた。
車を置いて11時15分。
長い距離を走ったワリには早い時間だった。
お腹も空いたが取り敢えず湾内一周の観光船に乗ることにする。
仁王丸というのが観光船だがチケット売り場から桟橋まで結構歩く。
桟橋で写真を撮っているうちに乗船開始。
僕たちは前の方に並んでいたので早めに船内に入るが2階のデッキには上がれない。
結局船内でグリーン券を買わされてしまった。
でもそのお陰で、2階のデッキの最後尾の椅子席を二つ確保することができた。
船が出る前からカモメが船の屋根に止まっていたが、船が走り出すとカモメの大群がデッキの上空に集まってくる。
湾内の景色を写真に撮ってもカモメが邪魔をするほどだった。
船の中でカッパエビセンを売っていて、カモメにあげる人が多いらしい。
カッパエビセンを手に持っていると上手にそれだけを嘴でつまんで持って行ってしまう。
僕たちは買わなかったが他の人がデッキにこぼしていったエビセンでやってみた。
可愛いかもしれないが沢山いすぎて圧倒されそうだ。

観光船は湾内を巡りながら島々の解説をしてくれる。
台風前でも湾内は穏やかで揺れも感じない。
湾内の島々には毘沙門島、ドウラン島、鐘島など名前が付けられていて、その謂れも紹介してくれるがとても覚えていられない。
ただ、水平線上に点在する小さな島影は綺麗だった。
昔から言われる日本三景としての松島は、観光船から見るのではなく展望台から望む方が美しいのだろう。

それに観光船乗り場も五大堂も瑞巌寺も国道の直ぐ脇で俗化しすぎている。
もう30年も昔のことになるが、天の橋立の方がまだ静かだった。

観光船の乗船時間はほぼ1時間。
もう12時を回っているのでお昼を食べに行く。
観光船乗り場の向かい側。
瑞巌寺入り口の並びにお店屋さんが並んでいる。
駐車場のおばあさんが教えてくれたのは南部屋さん。
それとお寿司なら幸寿司というお店だった。
国道を渡って幸寿司を探す。
結局適当なお店の人に教えてもらった。
道の1本裏手で分りにくい。
でもお魚は新鮮そうだ。
店の中はカウンター席のほかにテーブルが4つほど。
先客が1組いるだけだった。
文子は海鮮丼で僕は親方のお任せ握り、というのにした。
やはり魚は新鮮で美味しい。
お任せの方にはアナゴの生にぎり、というのが付いていた。
アナゴは江戸前かと思っていたが、この辺は有名な産地らしい。
アラの入った味噌汁も付いて二人で一杯づつ生ビールを飲んで7600円也。

お昼のあとは瑞巌寺と五大堂を見に行く。
瑞巌寺は山門を入ると杉の林の中の参道が続き、中ほどに入場料を取るところがある。
山門の入り口のところではガイドさんが声を掛ける。
結局、瑞巌寺の中には入らないで帰ってきてしまった。
山門と国道との間のわずかな間には何軒かのお店屋さんが犇めいているが、山門に一番近い一軒が銘菓萩の月のお店だった。
国道沿いを五大堂に向かって歩くと、ここもお土産屋さんが一杯。
その中でも仙台の笹蒲鉾は美味しそうだった。
あと目についたのが南部の鉄瓶。
鉄瓶だけではなく鉄器のものがいろいろあったが、この辺は南部地方と何かゆかりがあるのかもしれない。
五大堂は伊達政宗が再建した建物で国の重要文化財だそうだ。
ゆかりを辿ると坂上田村麻呂の時代まで遡るらしい。
でも、そういったことよりも松島の湾内の小島を従えて海の上に突き出た感じが写真の構図としてピッタリするのだろう。
僕たちも五大堂をバックに写真を撮った。
写真といえば、今回の旅行からはデジカメをメインカメラにした。
今までもデジカメを持ってはいたが光学ズームがなかったりしてあまり気に入ってなかった。
今度はコニカミノルタのディマージュという小型でいて光学3倍ズームがついたのを買ったので、それをメインカメラにしたのだ。
キャノンのオートボーイルナは日付が写らなくなってしまったが、予備として持ってきた。

五大堂を最後にして松島を後にする。
と言っても、まだ行ってみたいところがある。
松島を見下ろす展望台だ。
そこには車で行ける。
三陸自動車道の方向に少し戻ったところから展望台への道がある。
町道だがスカイラインという名がついているらしい。
途中に展望台と書いてあったが売店ばかりが目立って展望台へ行く道が分らなかったので通過。
そのまま行くと海岸の道に出るだけだった。
海岸近くに双観山というもう一つの名所がある。
車が1台止まっているだけの静かな場所。
甘味所が1軒あるが写真などで見るほど素敵な松島は見られなかった。
再びさっきのスカイラインに戻って展望台へ行く。
売店の横に道があり、そこを入って行くと、西行戻しの松という標識がある。
ここから松島湾を松林越しに見ることができる。
こっちの方が双観山より高台だが、ここからの眺めもそんなに期待した程ではなかった。

松島を出て作並温泉へ向かったのは3時を回っていた。
松島から仙台へ向かう国道に出てガソリンスタンドを探す。
良く走ってくれたと思うほどプラドは調子が良い。
この日1日で506?を走って64リッターだった。
仙台市内を通って作並温泉に向かう。
市内を走っているうちに雨が降り出す。
いよいよ台風が近いようだ。
仙台市内は渋滞。
それもそのはず、仙台の市役所とか県庁とか一番の市街地を通らされているようだ。
カーナビは便利だが、こういう時に応用が利かなくて困る。
自分で地図を見ていれば他のコースを通ったはずだが、カーナビがあると地図を見るのも少なくなる。
市外を抜けるとカーナビの案内と道路標識が一致しなくなったので道路標識を優先する。
目的地をセットする時に同じ名前でも違う場所を選択してしまうととんでもない場所に出る。
今回は有名温泉地だから標識があって助かった。
作並温泉には4時20分到着。
湯の原ホテルは作並温泉入り口に近い国道沿いのホテルだった。
車は玄関前の横の駐車場に止めることができた。
この頃になると雨足が結構強くなってきたので玄関から近いところで良かった。
部屋に入ると国道に面した窓が広くて明るい。
景色は国道の向こう側の山々を見ることになるのだろうが、今日は雨なので樹林くらいしか見えない。
早速お風呂へ行く。
お風呂は大理石風呂と露天があるらしい。
当然、露天の方へ行く。
脱衣所にも誰もいなくて貸し切りかと思ったら先客が一人だけいた。
その人は入れ替わるように出て行ってしまったので、ほとんど貸し切り状態。
内湯は檜の展望風呂(周りが大きなガラス張り)で、露天はドアの外にある。
屋上の展望風呂のワキに付け足したような円形のお風呂。
四角いスペースに円形だから余った四隅が勿体ないし、お風呂そのものを小さくしてしまっている。
そのうえ屋根がなく、今日のような雨模様の日は雨に打たれながら入るようになる。
尤も、暑がりの僕には冷たい雨が気持ち良い。
部屋に戻って少し休むと夕食の時間。
6時から夕食にしたのだ。
食事は食事コーナーのようなところへ行く。
元は広間だったらしいが、半分の大きさの障子を糸で天井から吊るして目隠し代わりにし、テーブルと椅子を置いて部屋ごとに食べれるようにしてある。
向こう側の壁に沿って3組。
こっちの壁側には僕たちだけしかいなかった。
今朝急に予約したのに食事は結構良いほう。
ゴーヤを二つに切ってそれをお皿代わりにして前菜が乗っている。
お刺身は石巻の海の幸、スープに朝鮮人参が入っていたが、漢方のような匂いもなく結構普通に食べることができた。
デザートはずんだ餅。
ずんだ餅は初めてだったが結構甘くて美味しかった。

部屋に戻ると布団が敷いてある。
窓の外は雨足が強まっている。
テレビを点けると台風は今夜関東に上陸と言っているが、その先は仙台方面へ進んでくるような予想図だ。
スケジュールどおりなら今日の今頃は牡鹿半島でテントを張っていたはずだが、この雨ではタープの外には一歩も出られなかっただろう。
二人で3万円の緊急出費になってしまったがそのお陰でのんびりと温泉に浸かって雨に濡れずに寝ることができるのだ。
寝る前にもう一度お風呂に行く。
今回も貸し切り同然。
雨が強くなってきて、さすがの僕も露天には長い時間入ってはいられない。
火照った身体を冷やすつもりで少しだけ雨に打たれていた。


8月26日(金)雨のち曇り
昨日の朝、早かったせいか、それとも雨音のせいか知らないが久しぶりにたっぷり寝る。
途中目覚めることもなく6時過ぎまで寝ていた。
朝も雨。
それでもそんなに強い降りではない。
朝風呂に行く。
露天風呂から見える向こう側の山は途中から上は霧で何も見えない。
宿の前を通る国道を仙台と反対方向に走ると50分で山形県の山寺に着くそうだ。
朝のニュースでは台風は昨夜深夜に房総半島に上陸したそうだ。
東北地方のニュースでは、山形自動車道の一部が通行止めになっているとのこと。
それに名取川が警戒水位を超えた、と言っている。
朝食は8時からにしてあるが、昨日の食事会場へ行ってみたら僕たちが最後だった。

チェックアウトは9時過ぎ。
その時にはJR仙山線が作並とどこか途中の駅で折り返し運転、というようなことをテレビで言っていた。
でも宿の玄関を出ても、そんなに酷い降りではない。
それに雨だけで風がないので傘も使える。
今日は一日雨になると覚悟していたので、屋内の観光施設を選んでおいた。
最初に向かったのは秋保温泉の近くにある万華鏡博物館。
作並温泉から秋保温泉へは短い距離だ。
その途中にJRの作並駅があるので寄ってみる。
日本海の越中宮崎駅よりは大きそうだがローカルな雰囲気の木造駅舎だった。
いつもの駅と違うのは電車が運転見合わせのため代行バスが駅前にいたこと。
結構大きな観光バスが代行バスで、半分くらいは人が乗っていた。
国道を仙台方面に戻ると途中に秋保温泉への標識がある。
今日の夜はここに泊る予定になっている。
国道から秋保温泉に向かう途中、左手に川が流れているが、この水量がもの凄く、滝が水平に流れている感じ。
見ているだけで恐ろしささえ感じるほどだった。
道路の高さは川と1?も変わらないし、路肩も心配になる。
でも通行止めになることもなく通り抜けることができた。
万華鏡博物館には駐車場が7?8台しかない。
10時前についたのに、もう2台しか空いてなかった。
雨の日に考えることはみんな同じらしい。
万華鏡のこうした展示施設は長野の善光寺でも見た覚えがある。
ここの万華鏡は2階に展示室がある。
ガラスケースの中に展示してあるのは見えないが、外に展示してあるのは自由に見ることができる。
大きいのや小さいのがあって、万華鏡そのものも形がさまざまだ。
文子は万華鏡が好きだ。
覗いているといろんな変化が楽しめて時間が経つのを忘れる。
今日も1時間以上見てから1階に下りる。
ここはいろんな万華鏡を売っている。
文子が個人に上げるお土産はほとんどここで買ってしまった。
外へ出るとまだ雨が降っている。
次の屋内施設は昨日屋内を見学しなかった瑞巌寺だ。
再びさっきの川沿いの道を走る。
水量が多くて流れの勢いが強く、見れば見るほど怖い感じだ。
秋保温泉から仙台南部道路の山田インターに乗る。
仙台南インターが途中にあるが、ここからは乗れなかった。
仙台南部道路から名取川を見下ろすことができる。
この川の流れも警戒水位を1?も超えているとテレビで言っていた。
昨日おだやかに見えた川も水量が多く広い河原一杯に流れている。
雨はずっと降っているが雨脚は強くない。
三陸自動車道に入って松島インターで降りる。
昨日の駐車場を素通りして瑞巌寺に近いコインパーキングに入れる。
ここは昨日お昼を食べた幸寿司の目の前だ。
時間はもうお昼だが2日連続でお寿司という感じではないので他の店に行く。
昨日の駐車場のおばあさんが教えてくれた南部屋さん。
文子は牛タンと牡蠣フライがセットになった定食。
僕はウナギとお蕎麦のセットにした。
それ以外に生牡蠣を1皿とビールを1杯づつ。
牡蠣は美味しかったがウナギは少し焦げていた。

食事が終わってから瑞巌寺へ。
相変わらず雨は続いているが風はなく普通に傘を差していられる。
昨日と同様瑞巌寺の山門を入ったところでガイドさんから声を掛けられる。
お願いします、と言うと、そこでガイド料を支払う。
2人だと1800円。
ガイドさんは地元のオバサンだろうがちょっと太めの人。
でも慣れているらしくガイドは上手。
参道の脇に昔のお坊さんが修行しながら生活していたという洞窟が残っている。
深さはそんなにないが寒さなんかは一入(ひとしお)だったろうと思われる。
ここと参道との間に杉が植えられているが、これは明治の初期に植えたのでたかだか100年くらいらしい。
でも参道の反対側にある杉は江戸時代に植えたものなので300年とか400年のものがある。
参道から瑞巌寺に入るところで海の方を振り向くと、山門を額に見たてて松島の海を切り取ったように作ってある、と説明してくれたが、山門と海との間に国道が通ってしまっていて昔の風情はない。
車が通っていない時を狙って写真を撮っても参道を歩く人並みが切れることはない。
ここで入場料一人700円を払って中に入る。
伊達政宗が建立した時のままの建物が残っている。
1604年というから関が原の戦いから4年後には、この建築に着手していたことになる。
内部は写真撮影禁止だが当時の色彩も残り、天皇を迎える場所の用意までしてある。
天皇が実際に瑞巌寺に来られたのは明治になってからだそうだ。
廊下は殿様が歩く板の間と武者走りとは分けられていて、万一の時には城の代わりになるよう作られていたという。
部屋の内部は金箔が使われていたり当時の色合いが残っていたりするがそれほど豪華絢爛という印象はない。
シェーンブルン宮殿などヨーロッパの宮殿が豪華絢爛なのに比べれば実に質素なものだ。
瑞巌寺だけでなく松本城も小田原城も皆同じ印象を受ける。
それが日本の風土や文化に会っていたのだろう。
ガイドさんの案内は瑞巌寺の中だけ。
外に出ると庫裏と宝物殿がある。
雨が小降りになったがまだ降っているので宝物殿も見る。
でも、こういうものは日本の歴史に興味がないとつまらないかもしれない。

外へ出ると雨が止んだので松島湾に掛かる赤い橋へ行く。
福浦島とを結んでいる福浦大橋。
昨日の遊覧船からも良く見えた橋だ。
この橋は有料で人間しか渡れない。
福浦島にはお社があるだけで誰かが住んでいる訳ではない。
昨日遊覧船で説明していた島々が違った角度から見える。
島を半周ほどして帰路につく。
松島の土産物店でお土産を買う。
仙台名物の笹カマボコを買いたかったが、明日も観光予定なので日持ちしない。
でも試食だけはちゃんとする。
結局文子は萩の月を買い、僕はそこの商品で安くて数がある物にした。

ここからカーナビを秋保温泉にセットすると、ちゃんと高速道路経由を示している。
朝通った逆のルートだ。
朝、増水していた名取川も朝ほどの激流ではないようだ。
仙台南部道路の仙台南インターからは一般道に降りる。
秋保温泉に着いたのは16時を少し回っていた。
秋保温泉の宿は佐藤屋旅館。
探さないと分からないかと思ったら意外と簡単に見つけることができた。
玄関脇の駐車場は小さいが、そこに止めることができた。
この宿はちょっと中途半端。
新館旧館とに分かれているが1フロアに部屋は4つくらいしかない。
その各フロアに仲居さんがいて人件費が勿体無い。
それでいて宴会場があったりしてコンセプトが明確でない。
向かい側には佐勘という老舗のホテルが大きなビルで豪華さを売り物にしており、佐藤屋の裏側にはホテルニュー水戸屋という綺麗な旅館が若い女性を案内に立てて営業している。
こういう環境の中では早くリニューアルして個人客を大事にするようにしないと遠からず潰れるような宿だ。
温泉は時間によって男女入れ替え。
夜9時までは男性用、というお風呂には露天があったが水戸屋の方から見えてしまう。
女性用の方は露天がないし浴槽も小さい。
そのうえお湯も掛け流しでなく循環と表示してある。
それでもお風呂でさっぱりしてくると直ぐに食事の時間。
食事は部屋出しだが、それほどビックリするようなものは乗っていない。
文子に言わせるとお刺身と天麩羅と茶碗蒸しが出るところは特徴がない宿だそうだが、この佐藤屋旅館は正しくそのとおりだった。
今回の旅行の中では一番安い旅館だから仕方ないのかもしれない。
寝る前にもう一度お風呂に行く。
もうすっかり雨も上がり台風は遠くへ去ったようだ。
いよいよ明日は期待している蔵王高原だ。
明日が晴れてくれないと今回の旅の価値がない。
台風一過の晴天を期待して眠りについた。


8月27日(土)晴れ
この日も布団の中でゆっくりできた。
目覚めたあとお風呂へ行くが、昨日の夜9時以降は男性用の方に露天がないので早々に上がってくる。
朝食も部屋出し。
朝食は干物があったり海苔があったりどこも似たようなものだ。

今日は蔵王高原を通って遠刈田温泉までのコース。
距離はそう長くないが、楽しみなポイントが沢山あるので早めに宿を出る。

8時半出発。
天気は昨日までと違ってさわやかな晴天。
カーナビを蔵王にセットするが宿から山形自動車道までが遠回りさせられているような気がして地図を見るが、間違ってはいなかった。
仙台南インターに戻って乗るのかと思っていたら宮城川崎インターというのがあって、カーナビはそこを目指していた。
宮城川崎インターで山形自動車道に乗ると昨日通行止めだった笹谷峠というのがあるが、今日は大丈夫のようだ。
峠をトンネルで越えると直ぐに山形蔵王のインターである。
短時間とはいえ、とうとう山形にまで足を踏み入れたことになる。
山形蔵王からは西蔵王ラインというのに乗らないと蔵王の山頂に行かれない。
高速道路から西蔵王ラインに行く人が多いらしく道路標識が整備されていて直ぐに取り付くことができた。
有料道路とはいうものの、片側1車線の山道。
遅い車がいると追い越しに苦労する。
土曜日というのに道は空いていて見通しさえあれば追い越しもできる。
遅い車を抜いたあと、高原地帯が広がるところに西蔵王公園展望台と書かれた標識があるので行ってみる。
狭い農道に舗装だけしたような道で箱根の林道のようだ。
短い距離で稜線に出ると、その山の向こう側に下界が見える。
そこは小広い駐車場になっていて展望台には説明も書いてある。
浅間温泉に行った時のアルプス公園みたいだ。
ここから見える下界は山形市内らしい。
でも少し遠くてくっきりとは見えない。
それでも初めて見る山形市にいつかは行ってみたい、と思った。
今日のコースはもっと良いところがあるに違いない、と思いながら写真を何枚か撮って出発する。
寄り道をしたのでさっき抜いた遅い車に先に行かれてしまったが、この公園からいくらも走らないうちに蔵王温泉との分岐に出る。
蔵王温泉には用がないのでエコーラインという別の有料道路の方に向かう。
いくらも走らないうちに蔵王中央ロープウエイの駅に出る。
スキーの時の記憶では地蔵岳へ行くロープウエイとドッコ沼から国体コースを滑るロープウエイと二つあったと思ったが、この中央ロープウエイというのがどっちへ行くのか分からなかった。
地図を見て地蔵岳へ行くのを確認してから車を止める。
赤いザックに防寒着を入れて行く。
ロープウエイは西穂高と同じようにユートピアゲレンデまで行く下のロープウエイとユートピアから地蔵岳頂上を結ぶ上部ロープウエイとに別れている。
下のロープウエイは101人が一度に乗れる大型のもの。
ここは結構混んでいて20人くらいが一緒だった。
ロープウエイは前の窓にいても近付いてくる終点の駅を見ているだけだから下界が見える後ろの窓の方が良い。
僕たちは後から乗ったのに後ろの窓には誰もいなくて座って外を見ていられた。
ユートピアで降りて観松平の散策コースなどを歩く人もいるが僕たちは頂上へ向かう。
上部のロープウエイは8人乗りで次から次へと連続で来る草津と同じタイプのロープウエイだ。
どんどん高度を上げて行くと下からガスが沸いてきて一瞬何も見えなくなってしまう。
頂上駅は霧の中から突然現れた感じだった。
駅を降りると風が強い。
文子に樹林の枝の方向を指して、風が強いから強い方向には枝が伸びないんだよ、などと言っていたら、正にそのとおりの風が吹いている。
厳重に防寒着を来て外に出る。
地蔵岳のお地蔵様が鎮座しているところが地蔵山との分岐になっている。
スキーの時に来たお地蔵様は雪の中に頭だけを出していた。
スキーを履いたままお地蔵様の頭を触ってから滑り出したのを覚えている。
お地蔵様に一礼してから写真を撮ろうと思っても風が霧を運んできて一瞬見えなくなったりする。
ここからワサ小屋跡という方に歩き出す。
コースは木道になっているのでコースを間違えることはないが霧が深くて遠くは見えない。
木道の近くに高山植物が咲いているのをカメラに収め、かなり歩いたと思われる頃地蔵山から刈田岳への登山コースに出会う。
これを左に行けば刈田岳のお釜まで歩ける。
地蔵山からケーブルに戻るにはここを右に戻る感じ。
でも今までの木道は稜線の陰だったが、このコースは稜線の上なので風が更に強い。
道は木道から石を敷きつめた道に変わっている。
それでも10分くらいで地蔵山と標識のある山頂に着く。
風と霧とに追われるようにして下山に掛かる。
文子を写真に撮るのが精一杯だった。
下山はこの山頂から急傾斜でお地蔵様のところまで下っている。
ここは石も敷いてないし木道にもなっていない、普通の山道である。
山頂を離れると風の強さが随分弱くなったように感じられる。
急傾斜が随分続くので、もしこれを登ったら結構大変だったろうと思う。
こんな急だとは思わなかったのだが、結果的にワサ小屋経由で登ったのが正解だった。

お地蔵様と山頂駅の間に鐘が掛かっている。
吹雪の時にはこの鐘の音を頼りに滑ってくるのだ。
山頂駅に戻ってようやくホッとする。
帰りのロープウエイは僕たち2人だけのゴンドラだった。
ロープウエイの窓から松の木の枝に紫色の実のようなものが見えたがアオモリトドマツの松ボックリだった。
ユートピアまで降りると頂上とは別世界。
緑のゲレンデに穏やかな陽が射して、その名のとおりユートピアのようだ。
本当はここも歩きたかったが、お昼も食べてないしお釜にも行きたいので写真だけ撮って出発する。
ところが写真を撮ろうと思ってもシャッターが下りない。
電池切れかと思って予備に取り替えるがまだダメ。
良く見たらメモリーが一杯だった。
メモリーも予備を持っているので取り替えて、漸く写真を撮ることができた。
でも64メガを撮り切ってしまったので予備は16メガしかない。
まだこれから良いところがあってもデジカメでは足りないかもしれない。
車に戻ってお釜に向かって出発。
エコーラインを少し走ると左手にドッコ沼へ行く林道が分岐している。

この道を登って行くとゲレンデの中を右に左に横切って行く。
そのゲレンデが開放感があって、ある程度の眺めもあるのでそこでお昼にする。
キャンプ用に持ってきた食料がクーラーに入っているが、昨日も今日もコンビで氷を買って冷やしておいたのだ。
車を寄せられる広くなったところに車を止め、車の後ろにテーブルとコンロを出す。
こうしているとさっきの山頂と一転して暑いくらいなので、これも冷やしておいたビールを飲む。
火が落ち着いてから焼き始めないと焦げちゃう、と文子が言うそばから僕が焼き鳥を焼き初めて、案の定焦げてしまった。
でも、食べれないことはない。
グルメの文子が買ってきた中にカニもあったが、こういう時間のない中ではカニは食べにくい。
やっぱり手っ取り早くお腹一杯になるのは肉。
肉は持ってきたのを皆食べてしまった。
この道は林道程度なので通行量が少ないと思っていたが、結構通る。
やっぱり車でドッコ沼まで行けるのが良いのだろう。
でも、多分遠からず車での乗り入れは禁止されてしまうのではないか。
上高地も乗鞍山頂も僕は車で行っているが立山だけはもう一般車の進入禁止になってから訪れた。
でも立山の場合はケーブルもバスもうまく接続して動いているのでさして不便は感じなかった。
蔵王もケーブルやリフトが整備されているので、同じようにすることが可能だろう。
火の始末をして出発。
こういう山の中だと火の始末をきちんとしないと山火事になってしまう。
なのに今日は水を用意して来なかった。
幸いにクーラーを冷やしていた氷が解けていたのでそれで消す。
火の始末だけはキャンパーの最低限のマナーだ。

エコーラインは坊平高原を経て蔵王の山腹を走って行く。
ところどころに見晴らしの良いところもあるが駐車場もない。
やがてお釜へ登るスキーリフトに到着。
ここには沢山の車が止まっている。
でも、インターネットで調べた限りでは、車のままお釜まで行く道があるはずだ。
一旦入れた駐車場を出てもう少し先に行く。
すぐに左手へ登って行く道があって料金所がある。
これはハイラインと言って距離は短いがお釜の下まで行くことができる。
駐車場は車で一杯。
でも中の方にところどころ空いているところがある。
ここに車を止め、すぐ上のレストハウスの向こう側にエメラルドグリーンのお釜が見える。
この光景は草津白根山も乗鞍岳も同じだ。
でもその山それぞれに水の色や背景が微妙に違っている。
蔵王のお釜は色がエメラルドグリーンで美しい。
背景は噴火で抉られた山肌がそのまま残っていて赤茶けている。
白根山はグリーンの中に噴火口があり乗鞍岳は周辺の雪渓や池の方が印象が強い。
赤茶けた岩を伝ってお釜に一番近いところまで行ってみる。
でも今日は何と風の強い日なのだろう。
さっきの地蔵岳も風が強かったが、ここも全く同じ。
そんな中、地蔵岳の方から縦走してくる人もいるのには関心する。
このお釜の脇から刈田岳への道が続いている。
と言っても山頂はすぐ目の前だし、道も観光客がそのまま歩けるように階段状に作られている。
さすがに風が強いからか、ここを登る人は少ない。
頂上には刈田峯神社というのがあって御神籤なんかを売っている。
山頂らしいといえば、周辺にはここより高い所が見当たらないことと、木の案内板があるだけだ。
ここからさらに縦走路は続いている。
ここも風が強いので写真を撮っただけ。
いよいよデジカメのメモリーが足りなくなってきたのでオートボーイの方に活躍して貰った。

ここからはエコーラインの下りになる。
エコーラインを下れば今日の宿がある遠刈田温泉だ。
もうそこまで特に見るものもない、と思っていたら突然大きく開けたところに出る。
右側は遠くに山が見えるだけだが左手にはコマクサ平という看板が出ている。
その先に展望台があるので行ってみる。
蔵王の山々から集まった水が各所で滝になって流れている。
この展望台から見える滝は二つあって左手に見えるのが不帰の滝(かえらずの滝)、右手の方が振子滝というらしい。
流れ落ちる先は深い谷を作っていて、ここも一つの絶景ポイントではある。
再び車に乗ってエコーラインを下る。
今度こそ何もないかと思っていたら、もう一箇所案内板が出てくる。
滝見台と言って三階滝を正面から見るポイントだった。
でもここは八ヶ岳の横谷渓谷や奥志賀の松川渓谷の方が立派。
ここを更に下ると遠刈田温泉の標識が見えてくる。
今日の宿「だいこんの花」の場所は遠刈田温泉からちょっと離れたところだったナ、と思いながら走っていると右側に「だいこんの花」の看板を見つける。
行き過ぎてしまって、次の路地でユーターンしたが、そこの路地はだいこんの花の自家菜園入り口だったようだ。

駐車場に若い女性がたくさんいる。
みんな「だいこんの花」の従業員で、笑顔で挨拶をしてくれる。
フロントへは駐車場との間に植え込みがある。
広い吹き抜けのフロントでは何の手続きもせずにチェックインは部屋で行うという。
フロントと同じ建物に食事所があり大浴場にも繋がっているので、そういう説明がある。
フロントを通り抜けると広い木製の渡り廊下がありそれぞれの離れに繋がっている。
僕たちの部屋(離れ)は菜の花という個室。
離れとは言ってもログ風の建物で、玄関を上がるとゆったりとしたソファのある8畳間くらいのリビング。
その奥にかなり余裕を持った感じでベッドが2台置かれた寝室。
寝室も10畳分くらいはあるだろうか。
そして右手奥にトイレ、洗面、洋服タンスなどが備え付けられている。
さらに洗面所の奥にはシャワールームがあり、その奥にもドアがあって露天風呂と繋がっている。
僕たちを案内してくれた女性は倫子さん。
部屋で必要事項を書き、夕食やお風呂の説明を受ける。
浴衣は部屋にあるがその他に作務衣も選べるというので貸して貰う。
その手続きが終われば特に呼ばない限り、誰も来ないシステムだ。
部屋の冷蔵庫にある飲み物は全て無料。
そのうえ明日の朝の目覚め用に好きな飲み物を用意してくれると言う。
文子はトマトジュース、僕はオレンジジュースをオーダーするとどちらも2本づつ持ってきてくれた。
二人だけになると興味深々で部屋の中を見て回る。
お風呂は源泉そのものの掛け流しなので自分でうめないと熱くて入れない。
浴衣のまま湯温を確かめてからお入り下さい、と書いてある。
浴衣か作務衣に着替えて貸し切り露天風呂へ行こうとしたところ、洗面所にアブが一匹入り込んでいるのを発見。
自然を残して離れにしたのは良いけど、こういう虫が多いことだけが欠点だ。
フロントに電話すると直ぐに退治しに来てくれた。

貸切の露天風呂は4箇所もある。
川沿いに2箇所と離れの側に2箇所だ。
いずれも無料で鍵もない。
入浴中という看板を出しておくだけのこと。
川沿いの露天風呂に行ってみるが2箇所とも一杯。
残りの2箇所を回ってみたら1箇所だけ「朝かぜ」というところが空いていたのでそこに入る。
隣のお風呂との仕切りはあるが開放感のある四角い形のお風呂だった。
作並温泉のとって付けたような露天ではなく、最初から露天を楽しむために作られたお風呂であることが分かる。
諏訪湖の油屋旅館は屋上の露天で開放感という点では抜群だが、平地でこんな開放感があるのは拾い敷地を有効に使っているからだろう。
排水も環境保護の立場から備え付けのソープ以外は使わない。
それもシャワールームでしか使わないようにされている。
お風呂の帰りにことりサロンと名付けられたサロンへ寄る。
ここのコーヒーは無料で勝手に煎れて良いことになっている。
ところが文子がやってみるとうまく出ない。
結局お湯切れみたいだったけど、係りの人を呼ぶようになってしまった。
部屋に戻っても、こういうところだったら本でも読みながらのんびりと過ごしたい感じだ。
箱根の天山の座敷ぼっこへ行くと、こうしたのんびり感を味わえるが、ここでは個室だからなおさらだ。
文子は裏手の自家菜園を見に行った。

今日の夕食は6時から食事どころ「コの字」で取る。
全部個室になっていて他の客と顔を合わすこともない。
食事のサービスも若い女性たちがサービスしてくれるが、一種のチーム制みたいになっていて一人の人がずっと僕たちを担当する訳ではない。
入れ替わりにいろんな女性が来るが皆にこやかで言葉遣いもとても良い。
この日の食事メニューが紙に書いておいてある。
『「温泉山荘 だいこんの花 葉月のお献立」一、季節の果実入りスパークリングワイン 一、お楽しみ前菜陸(ひじきとにがうり浸し、カリフラワームースおくらキャビア 旬の一口お刺身相馬産天然ひらめ) 一、体にやさしいとうがんと千貝柱のスープ 一、夏の名物料理かぼちゃのフォンデュ 一、どこかなつかしい夏だいこんと蛸の柔煮 一、お好きなほうを(と但し書きがあって次の2種から選択)☆夏の野菜と平田牧場の三元豚グリル ☆三陸産深海がきカクテルソース 一、びっくり!トマト 一、とうきびと雲丹のセイロご飯(自家製漬物 仙台味噌汁) 一、デザート白玉ずんだフルーツゼリー 料理長澤利美』となっている。
お酒は地元の冷酒を頼む。
料理はテーブルに並べられているのではなく、一品一品運ばれて来る。
最初のワインと一緒にメニューにないものも運ばれてきた。
それは採れたての野菜スティックでクシでだいこんに刺してある。
ニンジンときゅうり、それにスティックを刺してあるだいこんも食べられます、ということだった。
このスティックを食べるのに何か調味料がある訳ではなかったが、採りたてのダイコンが甘い、というのを始めて知った。
冷酒はワインのように氷に冷やして運ばれてくる。
前菜のカリフラワームースおくらキャビアというのはキャビアの味しか残らなかった。
相馬産天然ひらめというのは綺麗なグラスに盛られている。
かぼちゃのフォンデュは器もかぼちゃ。
その中がくり抜かれて、そこに熱いチーズフォンデュと同じように冷たいかぼちゃのフォンデュが入っている。
そこにパンや野菜を浸けて食べるのである。
お好きなほうを、というのは文子が牡蠣、僕は豚にした。
でも二人の分、きちんと同時にサービスされるし、食べ終わる頃合いと次の料理が出てくるタイミングも丁度良かった。
びっくり!トマトというのは見た目はただのトマト。
でもその中に肉詰めみたいに入っている。
ごはんは雲丹のせいろご飯になっているが雲丹だけは生で食べたかった。
どれもこれも皆特徴があって良く考えられていると思った。
肉や魚も出てくるが、全体としては野菜が主役を果たしている。

結局6時から食べ初めて7時半まで食べていた。
一旦部屋に戻って休む。
僕は8時からフットマッサージを予約してあるのでことりサロンに行く。
サロンの隣にアロマエステがある。
僕と同じ時間にやはりフットマッサージをする奥さんが一人いた。
マッサージ台は2台あるので同時に二人できるが、カーテンで仕切られているので姿は見えない。
フットマッサージを受けるのも初めてだったが、ツボがあって気持ち良かった。
マッサージされて痛かったところは肝臓と腎臓のところ。
いつもプラズマで言われるのと全く同じだった。
部屋に戻って部屋のお風呂にも入ってみる。
ここは板塀で囲われてしまっているが円形のお風呂だった。
夜10時過ぎに夜食が無料でサービスされるのでことりサロンに行く。
今日の夜食はじゃがいもの蒸したものとトコロテンだった。
寝る前に昼間入れなかった川沿いの貸切露天を見に行くと空いている。
文子は先に入って門を閉め、僕は部屋までタオルなどを取りに行った。
この川沿いのお風呂は二つあり、遠い方が「通り雨」。
近い方が「雪待ち」と名付けられている。
ここへは渡り廊下から別通路が長いので、そのエントランスの途中に木の枝で作った門があり、それが閉まっていれば誰かが入浴中ということになる。
通り雨はエントランスからもう少し歩く。
そこに小さな脱衣所と石造りのお風呂があるだけ。
でもここは森に囲まれた中にお風呂だけだから開放感から言ったらどこよりも最高。
右手下には川が流れていて、裸のままそこまで降りられるほどだ。
暗い森の中の温かい温泉。
照明が脱衣所と浴槽のそばにあるが、月の光のように温かくやらわかさを感じる。
二人だから良いけれど一人では寂しくなってしまいそうだ。


8月28日(日)晴れ、東京は晴れて暑い。

今回の旅行は僕だけ早く目が覚める、ということがなかった。
今朝も文子とほぼ同じに目覚めたので、貸し切り露天に行く。
昨日の夜入った渡り廊下の一番奥の、河原の貸し切り露天も朝の時間は誰もいない。
「通り雨」の方に浸かって温まったあと、もう一つのお風呂「雪待ち」にも行く。
ここは今朝始めて入るお風呂だが、目隠しが薪を積んで作ってあったりして、上手なやり方だと思った。
このお風呂も川に近い。
お風呂に浸かっていても流れが見えそうなくらいだ。
でも渡り廊下からのエントランスが長い分だけ奥の「通り雨」の方が良いと思う。

朝食まで時間があるので自家菜園へ行ってみる。
菜園の途中に小さなテーブルがあり、採りたての野菜とハーブが置いてある。
通路の脇には地面に火が焚かれお湯が沸いている。
ここからお湯を汲んでハーブティを作るらしい。
文子が一つ作ってみる。
菜園はそんなに広い訳ではないがキュウリ、トマト、ピーマンなどがなっていた。
通路はその先で終わり、畑に降りる。
畑もすぐ終わり露天風呂のところを流れていた川にぶつかって終わりになる。

旅の最終日の朝食は昨日と同じコの字へ行く。
でも席は昨夜と違って中庭が見える方向だ。
朝食の時間も遅く8時半からである。
席が決まると入り口の近くにバイキングの料理がいろいろ置いてあるので取りに行く。
僕も今日は和食。
でも、そんなに多くは取ってこない。
席に戻ってからサービスの女性が厚焼き玉子とかバイキング以外のものを持ってきてくれる。
ゆっくり食事をして部屋に戻る。
チェックアウトも11時と遅い時間まで大丈夫だ。
この宿にはお金さえあればもう1泊して行きたいくらいだ。
そうしたらどこにも行かずにこのままのんびりしていたい。

そういう思いを振り切って出発。
フロントへ行くとフロント脇の囲炉裏でオカキを焼いている。
会計を済ませたあとそこに座ってお茶とオカキを頂く。
改めて挨拶して門を出ても、昨日迎えてくれた時と同じようにみんなで送ってくれる。
チェックインから出発まで本当に気持ちの良い宿だった。
僕の中では今まで行った宿の中の最高ランクに入る宿だ。

今日の予定は特になし。
ひたすら自宅に向かって帰るだけ。
カーナビを川口料金所にセットすると東北道の白石インターから乗る道が表示される。
だいこんの花が良かったのでまだ余韻に浸っている。
だから自分の中では、前回の裏磐梯の時のようにどこかの日帰り温泉に寄っていく、なんて考えは全然出て来なかった。
白石インターの近くでガソリン補給。
これ1回で秦野まで持つはずだ。

白石インターに乗ったのが11時40分頃。
日曜日だというのに東北自動車道は順調。
国見のSAで簡単な昼食。
僕はラーメン、文子は山菜そばだった。
ここで最後のお土産を仕入れてからは東北道を順調に走る。
日曜日なので追い越し車線をのんびり走る馬鹿なヤツが時々現れるがみんな左側から抜いてしまった。
宇都宮を過ぎると3車線になるが車の量も増えてくる。
都内の首都高速通過に備えて羽生のSAに入ったのは2時半だった。
首都高速は来たときと同様、僕の手作りの首都高速ガイドを文子に読んでもらいながら通過。
手作りでもちゃんと間違いなく湾岸線にまで戻ってくることができた。
帰路で一番渋滞したのは横浜に入ってから。
保土ヶ谷バイパスの渋滞だけは避けることができなかった。
東名に乗ればもう帰ったも同然。海老名のSAでトイレタイム。
ここで4時15分というのは夕食には早過ぎるので帰ることにする。
でも、厚木秦野間で事故という標識があったので厚木で降りる。
最後の最後に自宅まで1時間ほどを要したが、それでも明るいうちに帰り着きキャンプ用具もその日のうちに下ろすことができた。


2度目の東北地方は台風に遭遇しキャンプはできなかったが、蔵王では台風一過の晴天で展望にも恵まれた。
今回のコースから、山形県の山寺が近い、というのも発見だったし次には山形や岩手にも脚を伸ばしてみたいものだ。
青森にある八甲田山や文子が行きたがっている不老不死温泉まではまだまだだが、定年になるよりも先に一度は訪問しておきたいところだ。
でも、山寺はともかく、それより遠いところは新幹線や飛行機の方が良いかもしれない。

写真:8月25日(木)雨のち曇りのち強雨
今年の夏は再び東北地方にチャレンジすることにした。
一昨年の夏、裏磐梯から猪苗代湖を周り、長野とは違う自然の美しさが結構気に入ってしまった。
昨年はそれに続き蛾々温泉の予約までしたが文子の入院があって行かれなかった。
おまけに、文子が退院後に計画した北海道旅行はどこの宿も最低クラス、という付録までついてしまった。
そこで今年はインターネットで評判の良い宿を探してそこへ泊まることをメインとして、旅の中の1日はいつもどおりキャンプという予定で5月中に計画を立てた。
インターネットの旅館ランキングでは東北地方では一の坊とか御宿かわせみなどが高評価だ。
今回行きたいコースは仙台から蔵王を回りたいので、そのコースから遠いところは対象外だ。
すると蔵王を降りてきた遠刈田温泉に「だいこんの花」という宿がある。
東北地方のランキングでは8位だった。
少々値段は高いが全部離れの宿というのが気に入った。
そのうえ貸し切り露天風呂も沢山ある。
予約もインターネットで可能なので最終日の宿を確保。
キャンプ場は適当なところがなく、仙台からもっと先の牡鹿半島にある家族旅行村というのを予約した。
ところがキャンプ場のあと、松島を周遊して仙台に出て、蔵王を巡って遠刈田温泉まで、というのはどうやっても不可能な距離と時間。
そこでもう1泊追加して3泊4日の旅になってしまった。


旅の出発というのは楽しいもの。
ところが今年はちょうどこの時期に会社が忙しく、前日の24日も、旅行から帰った後の29日も名古屋へ行く、という強行スケジュールだった。
そのうえ台風11号が近付いていて26日に東海から関東に上陸の恐れ、という天候。
雨の中のキャンプになるのかなぁ、と思いつつも、キャンプ道具は前週の日曜日に車に積んであるので当日の朝はそのまま出発。
前回と同様、都内が渋滞する前に首都高を通り抜けたいので4時半出発。
実際には10分ほど遅れての出発になる。
東名、保土ヶ谷バイパス、首都高湾岸線と通って空港中央へ。
しかし羽田も第二ターミナルができたので首都高の入り口から第一と第二に分かれていた。
再来週には北海道へ行くので、この標識を見つけておいて良かった。
新木場から先は前回通っただけなので文子にナビを読んでもらいながら走る。
プラドだからカーナビは付いているが、次のジャンクションを曲がるには右車線にいた方が良いのか左車線にいた方が良いのか分からないので自分で首都高地図を見ながら作ってきた紙のナビだ。
でも幸いに間違えることもなく川口料金所まで到着。
家を出てから東名あたりは雨だったが、ここまで来ると曇り空。
東北道に入って最初のPAは蓮田だが混むので通過。
その先の羽生まで行く。
羽生到着は7時半。
ここでトイレタイムとお握りの仕入れ。
朝早く出た甲斐があってここまでは順調だ。
でも今日の距離は長い。
600?近い距離を1日で走るのだ。
高速道路ばかりだから6時間程度だが一般道だったら1日では走れない距離だ。
東北道に乗ってから雨は止んでいるものの台風情報は刻々と関東上陸の可能性を告げている。
25日夕方に関東で26日明け方には東北が暴風圏内になりそうだ。
東北道は埼玉県と群馬県は短時間で通り過ぎる。
栃木県に入ると渋滞の名所、矢板PAを過ぎる。
那須高原SAに着いた時には少し眠かったがトイレに行くうちに目が覚めてしまった。
やがて白川を過ぎると栃木県を抜け福島県に入る。
郡山ジャンクションで磐越自動車道を分け安達太良SAへ。
ここで車から降りてしまうと眠気が覚めてしまうので直ぐに寝る。
朝早かったせいか直ぐに寝られた。
車を降りて売店なんかを見ていた文子によれば僕が寝ていたのは10分か15分くらいらしい。
でも、寝たおかげで、とてもすっきりとした。
ここで時間は9時半を回っているので今日の宿を確保することにする。
今日持ってきた旅行雑誌に載っている作並温泉の旅館「湯の原ホテル」。
幸いに空いていてすぐに予約することができた。
それからキャンプ場の方にも電話。
こちらは台風に遭遇しそうなので、と言うとあっさりとキャンセルができた。
これでキャンプ場がある牡鹿半島までは行く必要もなくなった。
それに明日は台風で雨の可能性がある。
雨がこのまま降らないようなら今日のうちに松島の観光船に乗ってしまうことにする。
安達太良を出てから福島西インターまでは前回通った道。
ここから先は初めて通る道だ。
国見、白石と過ぎ村田ジャンクションで山形自動車道を分ける。
プラドのカーナビも順調で仙台南インターを出て仙台南部自動車道へ行くよう案内している。
仙台南部自動車道は山中湖の道路みたいに対面通行が多いが一応高速道だ。
この道はやがて仙台東部道路にぶつかり右折すれば仙台空港へ、左折すれば今日僕たちが向かっている松島方面へ行くことができる。
この道は2車線の区間が多かったが途中から再び対面通行になる。
その先で仙台北部道路と三陸自動車道に別れるが松島へは三陸自動車道に入る。
松島海岸というインターがあるのでそこで降りるとETC出口がない。
ETCで入ったので高速の清算カードも無かったが料金所のオジサンがETCカードで精算してくれた。
東北自動車道川口から仙台南だけで7100円だから三陸自動車道などを入れれば9000円近いだろう。
松島海岸のインターを右折すると3?ほどで有名な松島海岸に出る。
途中に町営の無料駐車場があったが遠そうなので海岸まで行く。
海岸に出たところに1日置いても500円という駐車場があったのでそこに入れる。
と言っても民家の庭だった。
でもおばあさんが美味しい食堂なんかを教えてくれた。
車を置いて11時15分。
長い距離を走ったワリには早い時間だった。
お腹も空いたが取り敢えず湾内一周の観光船に乗ることにする。
仁王丸というのが観光船だがチケット売り場から桟橋まで結構歩く。
桟橋で写真を撮っているうちに乗船開始。
僕たちは前の方に並んでいたので早めに船内に入るが2階のデッキには上がれない。
結局船内でグリーン券を買わされてしまった。
でもそのお陰で、2階のデッキの最後尾の椅子席を二つ確保することができた。
船が出る前からカモメが船の屋根に止まっていたが、船が走り出すとカモメの大群がデッキの上空に集まってくる。
湾内の景色を写真に撮ってもカモメが邪魔をするほどだった。
船の中でカッパエビセンを売っていて、カモメにあげる人が多いらしい。
カッパエビセンを手に持っていると上手にそれだけを嘴でつまんで持って行ってしまう。
僕たちは買わなかったが他の人がデッキにこぼしていったエビセンでやってみた。
可愛いかもしれないが沢山いすぎて圧倒されそうだ。

観光船は湾内を巡りながら島々の解説をしてくれる。
台風前でも湾内は穏やかで揺れも感じない。
湾内の島々には毘沙門島、ドウラン島、鐘島など名前が付けられていて、その謂れも紹介してくれるがとても覚えていられない。
ただ、水平線上に点在する小さな島影は綺麗だった。
昔から言われる日本三景としての松島は、観光船から見るのではなく展望台から望む方が美しいのだろう。

それに観光船乗り場も五大堂も瑞巌寺も国道の直ぐ脇で俗化しすぎている。
もう30年も昔のことになるが、天の橋立の方がまだ静かだった。

観光船の乗船時間はほぼ1時間。
もう12時を回っているのでお昼を食べに行く。
観光船乗り場の向かい側。
瑞巌寺入り口の並びにお店屋さんが並んでいる。
駐車場のおばあさんが教えてくれたのは南部屋さん。
それとお寿司なら幸寿司というお店だった。
国道を渡って幸寿司を探す。
結局適当なお店の人に教えてもらった。
道の1本裏手で分りにくい。
でもお魚は新鮮そうだ。
店の中はカウンター席のほかにテーブルが4つほど。
先客が1組いるだけだった。
文子は海鮮丼で僕は親方のお任せ握り、というのにした。
やはり魚は新鮮で美味しい。
お任せの方にはアナゴの生にぎり、というのが付いていた。
アナゴは江戸前かと思っていたが、この辺は有名な産地らしい。
アラの入った味噌汁も付いて二人で一杯づつ生ビールを飲んで7600円也。

お昼のあとは瑞巌寺と五大堂を見に行く。
瑞巌寺は山門を入ると杉の林の中の参道が続き、中ほどに入場料を取るところがある。
山門の入り口のところではガイドさんが声を掛ける。
結局、瑞巌寺の中には入らないで帰ってきてしまった。
山門と国道との間のわずかな間には何軒かのお店屋さんが犇めいているが、山門に一番近い一軒が銘菓萩の月のお店だった。
国道沿いを五大堂に向かって歩くと、ここもお土産屋さんが一杯。
その中でも仙台の笹蒲鉾は美味しそうだった。
あと目についたのが南部の鉄瓶。
鉄瓶だけではなく鉄器のものがいろいろあったが、この辺は南部地方と何かゆかりがあるのかもしれない。
五大堂は伊達政宗が再建した建物で国の重要文化財だそうだ。
ゆかりを辿ると坂上田村麻呂の時代まで遡るらしい。
でも、そういったことよりも松島の湾内の小島を従えて海の上に突き出た感じが写真の構図としてピッタリするのだろう。
僕たちも五大堂をバックに写真を撮った。
写真といえば、今回の旅行からはデジカメをメインカメラにした。
今までもデジカメを持ってはいたが光学ズームがなかったりしてあまり気に入ってなかった。
今度はコニカミノルタのディマージュという小型でいて光学3倍ズームがついたのを買ったので、それをメインカメラにしたのだ。
キャノンのオートボーイルナは日付が写らなくなってしまったが、予備として持ってきた。

五大堂を最後にして松島を後にする。
と言っても、まだ行ってみたいところがある。
松島を見下ろす展望台だ。
そこには車で行ける。
三陸自動車道の方向に少し戻ったところから展望台への道がある。
町道だがスカイラインという名がついているらしい。
途中に展望台と書いてあったが売店ばかりが目立って展望台へ行く道が分らなかったので通過。
そのまま行くと海岸の道に出るだけだった。
海岸近くに双観山というもう一つの名所がある。
車が1台止まっているだけの静かな場所。
甘味所が1軒あるが写真などで見るほど素敵な松島は見られなかった。
再びさっきのスカイラインに戻って展望台へ行く。
売店の横に道があり、そこを入って行くと、西行戻しの松という標識がある。
ここから松島湾を松林越しに見ることができる。
こっちの方が双観山より高台だが、ここからの眺めもそんなに期待した程ではなかった。

松島を出て作並温泉へ向かったのは3時を回っていた。
松島から仙台へ向かう国道に出てガソリンスタンドを探す。
良く走ってくれたと思うほどプラドは調子が良い。
この日1日で506?を走って64リッターだった。
仙台市内を通って作並温泉に向かう。
市内を走っているうちに雨が降り出す。
いよいよ台風が近いようだ。
仙台市内は渋滞。
それもそのはず、仙台の市役所とか県庁とか一番の市街地を通らされているようだ。
カーナビは便利だが、こういう時に応用が利かなくて困る。
自分で地図を見ていれば他のコースを通ったはずだが、カーナビがあると地図を見るのも少なくなる。
市外を抜けるとカーナビの案内と道路標識が一致しなくなったので道路標識を優先する。
目的地をセットする時に同じ名前でも違う場所を選択してしまうととんでもない場所に出る。
今回は有名温泉地だから標識があって助かった。
作並温泉には4時20分到着。
湯の原ホテルは作並温泉入り口に近い国道沿いのホテルだった。
車は玄関前の横の駐車場に止めることができた。
この頃になると雨足が結構強くなってきたので玄関から近いところで良かった。
部屋に入ると国道に面した窓が広くて明るい。
景色は国道の向こう側の山々を見ることになるのだろうが、今日は雨なので樹林くらいしか見えない。
早速お風呂へ行く。
お風呂は大理石風呂と露天があるらしい。
当然、露天の方へ行く。
脱衣所にも誰もいなくて貸し切りかと思ったら先客が一人だけいた。
その人は入れ替わるように出て行ってしまったので、ほとんど貸し切り状態。
内湯は檜の展望風呂(周りが大きなガラス張り)で、露天はドアの外にある。
屋上の展望風呂のワキに付け足したような円形のお風呂。
四角いスペースに円形だから余った四隅が勿体ないし、お風呂そのものを小さくしてしまっている。
そのうえ屋根がなく、今日のような雨模様の日は雨に打たれながら入るようになる。
尤も、暑がりの僕には冷たい雨が気持ち良い。
部屋に戻って少し休むと夕食の時間。
6時から夕食にしたのだ。
食事は食事コーナーのようなところへ行く。
元は広間だったらしいが、半分の大きさの障子を糸で天井から吊るして目隠し代わりにし、テーブルと椅子を置いて部屋ごとに食べれるようにしてある。
向こう側の壁に沿って3組。
こっちの壁側には僕たちだけしかいなかった。
今朝急に予約したのに食事は結構良いほう。
ゴーヤを二つに切ってそれをお皿代わりにして前菜が乗っている。
お刺身は石巻の海の幸、スープに朝鮮人参が入っていたが、漢方のような匂いもなく結構普通に食べることができた。
デザートはずんだ餅。
ずんだ餅は初めてだったが結構甘くて美味しかった。

部屋に戻ると布団が敷いてある。
窓の外は雨足が強まっている。
テレビを点けると台風は今夜関東に上陸と言っているが、その先は仙台方面へ進んでくるような予想図だ。
スケジュールどおりなら今日の今頃は牡鹿半島でテントを張っていたはずだが、この雨ではタープの外には一歩も出られなかっただろう。
二人で3万円の緊急出費になってしまったがそのお陰でのんびりと温泉に浸かって雨に濡れずに寝ることができるのだ。
寝る前にもう一度お風呂に行く。
今回も貸し切り同然。
雨が強くなってきて、さすがの僕も露天には長い時間入ってはいられない。
火照った身体を冷やすつもりで少しだけ雨に打たれていた。


8月26日(金)雨のち曇り
昨日の朝、早かったせいか、それとも雨音のせいか知らないが久しぶりにたっぷり寝る。
途中目覚めることもなく6時過ぎまで寝ていた。
朝も雨。
それでもそんなに強い降りではない。
朝風呂に行く。
露天風呂から見える向こう側の山は途中から上は霧で何も見えない。
宿の前を通る国道を仙台と反対方向に走ると50分で山形県の山寺に着くそうだ。
朝のニュースでは台風は昨夜深夜に房総半島に上陸したそうだ。
東北地方のニュースでは、山形自動車道の一部が通行止めになっているとのこと。
それに名取川が警戒水位を超えた、と言っている。
朝食は8時からにしてあるが、昨日の食事会場へ行ってみたら僕たちが最後だった。

チェックアウトは9時過ぎ。
その時にはJR仙山線が作並とどこか途中の駅で折り返し運転、というようなことをテレビで言っていた。
でも宿の玄関を出ても、そんなに酷い降りではない。
それに雨だけで風がないので傘も使える。
今日は一日雨になると覚悟していたので、屋内の観光施設を選んでおいた。
最初に向かったのは秋保温泉の近くにある万華鏡博物館。
作並温泉から秋保温泉へは短い距離だ。
その途中にJRの作並駅があるので寄ってみる。
日本海の越中宮崎駅よりは大きそうだがローカルな雰囲気の木造駅舎だった。
いつもの駅と違うのは電車が運転見合わせのため代行バスが駅前にいたこと。
結構大きな観光バスが代行バスで、半分くらいは人が乗っていた。
国道を仙台方面に戻ると途中に秋保温泉への標識がある。
今日の夜はここに泊る予定になっている。
国道から秋保温泉に向かう途中、左手に川が流れているが、この水量がもの凄く、滝が水平に流れている感じ。
見ているだけで恐ろしささえ感じるほどだった。
道路の高さは川と1?も変わらないし、路肩も心配になる。
でも通行止めになることもなく通り抜けることができた。
万華鏡博物館には駐車場が7?8台しかない。
10時前についたのに、もう2台しか空いてなかった。
雨の日に考えることはみんな同じらしい。
万華鏡のこうした展示施設は長野の善光寺でも見た覚えがある。
ここの万華鏡は2階に展示室がある。
ガラスケースの中に展示してあるのは見えないが、外に展示してあるのは自由に見ることができる。
大きいのや小さいのがあって、万華鏡そのものも形がさまざまだ。
文子は万華鏡が好きだ。
覗いているといろんな変化が楽しめて時間が経つのを忘れる。
今日も1時間以上見てから1階に下りる。
ここはいろんな万華鏡を売っている。
文子が個人に上げるお土産はほとんどここで買ってしまった。
外へ出るとまだ雨が降っている。
次の屋内施設は昨日屋内を見学しなかった瑞巌寺だ。
再びさっきの川沿いの道を走る。
水量が多くて流れの勢いが強く、見れば見るほど怖い感じだ。
秋保温泉から仙台南部道路の山田インターに乗る。
仙台南インターが途中にあるが、ここからは乗れなかった。
仙台南部道路から名取川を見下ろすことができる。
この川の流れも警戒水位を1?も超えているとテレビで言っていた。
昨日おだやかに見えた川も水量が多く広い河原一杯に流れている。
雨はずっと降っているが雨脚は強くない。
三陸自動車道に入って松島インターで降りる。
昨日の駐車場を素通りして瑞巌寺に近いコインパーキングに入れる。
ここは昨日お昼を食べた幸寿司の目の前だ。
時間はもうお昼だが2日連続でお寿司という感じではないので他の店に行く。
昨日の駐車場のおばあさんが教えてくれた南部屋さん。
文子は牛タンと牡蠣フライがセットになった定食。
僕はウナギとお蕎麦のセットにした。
それ以外に生牡蠣を1皿とビールを1杯づつ。
牡蠣は美味しかったがウナギは少し焦げていた。

食事が終わってから瑞巌寺へ。
相変わらず雨は続いているが風はなく普通に傘を差していられる。
昨日と同様瑞巌寺の山門を入ったところでガイドさんから声を掛けられる。
お願いします、と言うと、そこでガイド料を支払う。
2人だと1800円。
ガイドさんは地元のオバサンだろうがちょっと太めの人。
でも慣れているらしくガイドは上手。
参道の脇に昔のお坊さんが修行しながら生活していたという洞窟が残っている。
深さはそんなにないが寒さなんかは一入(ひとしお)だったろうと思われる。
ここと参道との間に杉が植えられているが、これは明治の初期に植えたのでたかだか100年くらいらしい。
でも参道の反対側にある杉は江戸時代に植えたものなので300年とか400年のものがある。
参道から瑞巌寺に入るところで海の方を振り向くと、山門を額に見たてて松島の海を切り取ったように作ってある、と説明してくれたが、山門と海との間に国道が通ってしまっていて昔の風情はない。
車が通っていない時を狙って写真を撮っても参道を歩く人並みが切れることはない。
ここで入場料一人700円を払って中に入る。
伊達政宗が建立した時のままの建物が残っている。
1604年というから関が原の戦いから4年後には、この建築に着手していたことになる。
内部は写真撮影禁止だが当時の色彩も残り、天皇を迎える場所の用意までしてある。
天皇が実際に瑞巌寺に来られたのは明治になってからだそうだ。
廊下は殿様が歩く板の間と武者走りとは分けられていて、万一の時には城の代わりになるよう作られていたという。
部屋の内部は金箔が使われていたり当時の色合いが残っていたりするがそれほど豪華絢爛という印象はない。
シェーンブルン宮殿などヨーロッパの宮殿が豪華絢爛なのに比べれば実に質素なものだ。
瑞巌寺だけでなく松本城も小田原城も皆同じ印象を受ける。
それが日本の風土や文化に会っていたのだろう。
ガイドさんの案内は瑞巌寺の中だけ。
外に出ると庫裏と宝物殿がある。
雨が小降りになったがまだ降っているので宝物殿も見る。
でも、こういうものは日本の歴史に興味がないとつまらないかもしれない。

外へ出ると雨が止んだので松島湾に掛かる赤い橋へ行く。
福浦島とを結んでいる福浦大橋。
昨日の遊覧船からも良く見えた橋だ。
この橋は有料で人間しか渡れない。
福浦島にはお社があるだけで誰かが住んでいる訳ではない。
昨日遊覧船で説明していた島々が違った角度から見える。
島を半周ほどして帰路につく。
松島の土産物店でお土産を買う。
仙台名物の笹カマボコを買いたかったが、明日も観光予定なので日持ちしない。
でも試食だけはちゃんとする。
結局文子は萩の月を買い、僕はそこの商品で安くて数がある物にした。

ここからカーナビを秋保温泉にセットすると、ちゃんと高速道路経由を示している。
朝通った逆のルートだ。
朝、増水していた名取川も朝ほどの激流ではないようだ。
仙台南部道路の仙台南インターからは一般道に降りる。
秋保温泉に着いたのは16時を少し回っていた。
秋保温泉の宿は佐藤屋旅館。
探さないと分からないかと思ったら意外と簡単に見つけることができた。
玄関脇の駐車場は小さいが、そこに止めることができた。
この宿はちょっと中途半端。
新館旧館とに分かれているが1フロアに部屋は4つくらいしかない。
その各フロアに仲居さんがいて人件費が勿体無い。
それでいて宴会場があったりしてコンセプトが明確でない。
向かい側には佐勘という老舗のホテルが大きなビルで豪華さを売り物にしており、佐藤屋の裏側にはホテルニュー水戸屋という綺麗な旅館が若い女性を案内に立てて営業している。
こういう環境の中では早くリニューアルして個人客を大事にするようにしないと遠からず潰れるような宿だ。
温泉は時間によって男女入れ替え。
夜9時までは男性用、というお風呂には露天があったが水戸屋の方から見えてしまう。
女性用の方は露天がないし浴槽も小さい。
そのうえお湯も掛け流しでなく循環と表示してある。
それでもお風呂でさっぱりしてくると直ぐに食事の時間。
食事は部屋出しだが、それほどビックリするようなものは乗っていない。
文子に言わせるとお刺身と天麩羅と茶碗蒸しが出るところは特徴がない宿だそうだが、この佐藤屋旅館は正しくそのとおりだった。
今回の旅行の中では一番安い旅館だから仕方ないのかもしれない。
寝る前にもう一度お風呂に行く。
もうすっかり雨も上がり台風は遠くへ去ったようだ。
いよいよ明日は期待している蔵王高原だ。
明日が晴れてくれないと今回の旅の価値がない。
台風一過の晴天を期待して眠りについた。


8月27日(土)晴れ
この日も布団の中でゆっくりできた。
目覚めたあとお風呂へ行くが、昨日の夜9時以降は男性用の方に露天がないので早々に上がってくる。
朝食も部屋出し。
朝食は干物があったり海苔があったりどこも似たようなものだ。

今日は蔵王高原を通って遠刈田温泉までのコース。
距離はそう長くないが、楽しみなポイントが沢山あるので早めに宿を出る。

8時半出発。
天気は昨日までと違ってさわやかな晴天。
カーナビを蔵王にセットするが宿から山形自動車道までが遠回りさせられているような気がして地図を見るが、間違ってはいなかった。
仙台南インターに戻って乗るのかと思っていたら宮城川崎インターというのがあって、カーナビはそこを目指していた。
宮城川崎インターで山形自動車道に乗ると昨日通行止めだった笹谷峠というのがあるが、今日は大丈夫のようだ。
峠をトンネルで越えると直ぐに山形蔵王のインターである。
短時間とはいえ、とうとう山形にまで足を踏み入れたことになる。
山形蔵王からは西蔵王ラインというのに乗らないと蔵王の山頂に行かれない。
高速道路から西蔵王ラインに行く人が多いらしく道路標識が整備されていて直ぐに取り付くことができた。
有料道路とはいうものの、片側1車線の山道。
遅い車がいると追い越しに苦労する。
土曜日というのに道は空いていて見通しさえあれば追い越しもできる。
遅い車を抜いたあと、高原地帯が広がるところに西蔵王公園展望台と書かれた標識があるので行ってみる。
狭い農道に舗装だけしたような道で箱根の林道のようだ。
短い距離で稜線に出ると、その山の向こう側に下界が見える。
そこは小広い駐車場になっていて展望台には説明も書いてある。
浅間温泉に行った時のアルプス公園みたいだ。
ここから見える下界は山形市内らしい。
でも少し遠くてくっきりとは見えない。
それでも初めて見る山形市にいつかは行ってみたい、と思った。
今日のコースはもっと良いところがあるに違いない、と思いながら写真を何枚か撮って出発する。
寄り道をしたのでさっき抜いた遅い車に先に行かれてしまったが、この公園からいくらも走らないうちに蔵王温泉との分岐に出る。
蔵王温泉には用がないのでエコーラインという別の有料道路の方に向かう。
いくらも走らないうちに蔵王中央ロープウエイの駅に出る。
スキーの時の記憶では地蔵岳へ行くロープウエイとドッコ沼から国体コースを滑るロープウエイと二つあったと思ったが、この中央ロープウエイというのがどっちへ行くのか分からなかった。
地図を見て地蔵岳へ行くのを確認してから車を止める。
赤いザックに防寒着を入れて行く。
ロープウエイは西穂高と同じようにユートピアゲレンデまで行く下のロープウエイとユートピアから地蔵岳頂上を結ぶ上部ロープウエイとに別れている。
下のロープウエイは101人が一度に乗れる大型のもの。
ここは結構混んでいて20人くらいが一緒だった。
ロープウエイは前の窓にいても近付いてくる終点の駅を見ているだけだから下界が見える後ろの窓の方が良い。
僕たちは後から乗ったのに後ろの窓には誰もいなくて座って外を見ていられた。
ユートピアで降りて観松平の散策コースなどを歩く人もいるが僕たちは頂上へ向かう。
上部のロープウエイは8人乗りで次から次へと連続で来る草津と同じタイプのロープウエイだ。
どんどん高度を上げて行くと下からガスが沸いてきて一瞬何も見えなくなってしまう。
頂上駅は霧の中から突然現れた感じだった。
駅を降りると風が強い。
文子に樹林の枝の方向を指して、風が強いから強い方向には枝が伸びないんだよ、などと言っていたら、正にそのとおりの風が吹いている。
厳重に防寒着を来て外に出る。
地蔵岳のお地蔵様が鎮座しているところが地蔵山との分岐になっている。
スキーの時に来たお地蔵様は雪の中に頭だけを出していた。
スキーを履いたままお地蔵様の頭を触ってから滑り出したのを覚えている。
お地蔵様に一礼してから写真を撮ろうと思っても風が霧を運んできて一瞬見えなくなったりする。
ここからワサ小屋跡という方に歩き出す。
コースは木道になっているのでコースを間違えることはないが霧が深くて遠くは見えない。
木道の近くに高山植物が咲いているのをカメラに収め、かなり歩いたと思われる頃地蔵山から刈田岳への登山コースに出会う。
これを左に行けば刈田岳のお釜まで歩ける。
地蔵山からケーブルに戻るにはここを右に戻る感じ。
でも今までの木道は稜線の陰だったが、このコースは稜線の上なので風が更に強い。
道は木道から石を敷きつめた道に変わっている。
それでも10分くらいで地蔵山と標識のある山頂に着く。
風と霧とに追われるようにして下山に掛かる。
文子を写真に撮るのが精一杯だった。
下山はこの山頂から急傾斜でお地蔵様のところまで下っている。
ここは石も敷いてないし木道にもなっていない、普通の山道である。
山頂を離れると風の強さが随分弱くなったように感じられる。
急傾斜が随分続くので、もしこれを登ったら結構大変だったろうと思う。
こんな急だとは思わなかったのだが、結果的にワサ小屋経由で登ったのが正解だった。

お地蔵様と山頂駅の間に鐘が掛かっている。
吹雪の時にはこの鐘の音を頼りに滑ってくるのだ。
山頂駅に戻ってようやくホッとする。
帰りのロープウエイは僕たち2人だけのゴンドラだった。
ロープウエイの窓から松の木の枝に紫色の実のようなものが見えたがアオモリトドマツの松ボックリだった。
ユートピアまで降りると頂上とは別世界。
緑のゲレンデに穏やかな陽が射して、その名のとおりユートピアのようだ。
本当はここも歩きたかったが、お昼も食べてないしお釜にも行きたいので写真だけ撮って出発する。
ところが写真を撮ろうと思ってもシャッターが下りない。
電池切れかと思って予備に取り替えるがまだダメ。
良く見たらメモリーが一杯だった。
メモリーも予備を持っているので取り替えて、漸く写真を撮ることができた。
でも64メガを撮り切ってしまったので予備は16メガしかない。
まだこれから良いところがあってもデジカメでは足りないかもしれない。
車に戻ってお釜に向かって出発。
エコーラインを少し走ると左手にドッコ沼へ行く林道が分岐している。

この道を登って行くとゲレンデの中を右に左に横切って行く。
そのゲレンデが開放感があって、ある程度の眺めもあるのでそこでお昼にする。
キャンプ用に持ってきた食料がクーラーに入っているが、昨日も今日もコンビで氷を買って冷やしておいたのだ。
車を寄せられる広くなったところに車を止め、車の後ろにテーブルとコンロを出す。
こうしているとさっきの山頂と一転して暑いくらいなので、これも冷やしておいたビールを飲む。
火が落ち着いてから焼き始めないと焦げちゃう、と文子が言うそばから僕が焼き鳥を焼き初めて、案の定焦げてしまった。
でも、食べれないことはない。
グルメの文子が買ってきた中にカニもあったが、こういう時間のない中ではカニは食べにくい。
やっぱり手っ取り早くお腹一杯になるのは肉。
肉は持ってきたのを皆食べてしまった。
この道は林道程度なので通行量が少ないと思っていたが、結構通る。
やっぱり車でドッコ沼まで行けるのが良いのだろう。
でも、多分遠からず車での乗り入れは禁止されてしまうのではないか。
上高地も乗鞍山頂も僕は車で行っているが立山だけはもう一般車の進入禁止になってから訪れた。
でも立山の場合はケーブルもバスもうまく接続して動いているのでさして不便は感じなかった。
蔵王もケーブルやリフトが整備されているので、同じようにすることが可能だろう。
火の始末をして出発。
こういう山の中だと火の始末をきちんとしないと山火事になってしまう。
なのに今日は水を用意して来なかった。
幸いにクーラーを冷やしていた氷が解けていたのでそれで消す。
火の始末だけはキャンパーの最低限のマナーだ。

エコーラインは坊平高原を経て蔵王の山腹を走って行く。
ところどころに見晴らしの良いところもあるが駐車場もない。
やがてお釜へ登るスキーリフトに到着。
ここには沢山の車が止まっている。
でも、インターネットで調べた限りでは、車のままお釜まで行く道があるはずだ。
一旦入れた駐車場を出てもう少し先に行く。
すぐに左手へ登って行く道があって料金所がある。
これはハイラインと言って距離は短いがお釜の下まで行くことができる。
駐車場は車で一杯。
でも中の方にところどころ空いているところがある。
ここに車を止め、すぐ上のレストハウスの向こう側にエメラルドグリーンのお釜が見える。
この光景は草津白根山も乗鞍岳も同じだ。
でもその山それぞれに水の色や背景が微妙に違っている。
蔵王のお釜は色がエメラルドグリーンで美しい。
背景は噴火で抉られた山肌がそのまま残っていて赤茶けている。
白根山はグリーンの中に噴火口があり乗鞍岳は周辺の雪渓や池の方が印象が強い。
赤茶けた岩を伝ってお釜に一番近いところまで行ってみる。
でも今日は何と風の強い日なのだろう。
さっきの地蔵岳も風が強かったが、ここも全く同じ。
そんな中、地蔵岳の方から縦走してくる人もいるのには関心する。
このお釜の脇から刈田岳への道が続いている。
と言っても山頂はすぐ目の前だし、道も観光客がそのまま歩けるように階段状に作られている。
さすがに風が強いからか、ここを登る人は少ない。
頂上には刈田峯神社というのがあって御神籤なんかを売っている。
山頂らしいといえば、周辺にはここより高い所が見当たらないことと、木の案内板があるだけだ。
ここからさらに縦走路は続いている。
ここも風が強いので写真を撮っただけ。
いよいよデジカメのメモリーが足りなくなってきたのでオートボーイの方に活躍して貰った。

ここからはエコーラインの下りになる。
エコーラインを下れば今日の宿がある遠刈田温泉だ。
もうそこまで特に見るものもない、と思っていたら突然大きく開けたところに出る。
右側は遠くに山が見えるだけだが左手にはコマクサ平という看板が出ている。
その先に展望台があるので行ってみる。
蔵王の山々から集まった水が各所で滝になって流れている。
この展望台から見える滝は二つあって左手に見えるのが不帰の滝(かえらずの滝)、右手の方が振子滝というらしい。
流れ落ちる先は深い谷を作っていて、ここも一つの絶景ポイントではある。
再び車に乗ってエコーラインを下る。
今度こそ何もないかと思っていたら、もう一箇所案内板が出てくる。
滝見台と言って三階滝を正面から見るポイントだった。
でもここは八ヶ岳の横谷渓谷や奥志賀の松川渓谷の方が立派。
ここを更に下ると遠刈田温泉の標識が見えてくる。
今日の宿「だいこんの花」の場所は遠刈田温泉からちょっと離れたところだったナ、と思いながら走っていると右側に「だいこんの花」の看板を見つける。
行き過ぎてしまって、次の路地でユーターンしたが、そこの路地はだいこんの花の自家菜園入り口だったようだ。

駐車場に若い女性がたくさんいる。
みんな「だいこんの花」の従業員で、笑顔で挨拶をしてくれる。
フロントへは駐車場との間に植え込みがある。
広い吹き抜けのフロントでは何の手続きもせずにチェックインは部屋で行うという。
フロントと同じ建物に食事所があり大浴場にも繋がっているので、そういう説明がある。
フロントを通り抜けると広い木製の渡り廊下がありそれぞれの離れに繋がっている。
僕たちの部屋(離れ)は菜の花という個室。
離れとは言ってもログ風の建物で、玄関を上がるとゆったりとしたソファのある8畳間くらいのリビング。
その奥にかなり余裕を持った感じでベッドが2台置かれた寝室。
寝室も10畳分くらいはあるだろうか。
そして右手奥にトイレ、洗面、洋服タンスなどが備え付けられている。
さらに洗面所の奥にはシャワールームがあり、その奥にもドアがあって露天風呂と繋がっている。
僕たちを案内してくれた女性は倫子さん。
部屋で必要事項を書き、夕食やお風呂の説明を受ける。
浴衣は部屋にあるがその他に作務衣も選べるというので貸して貰う。
その手続きが終われば特に呼ばない限り、誰も来ないシステムだ。
部屋の冷蔵庫にある飲み物は全て無料。
そのうえ明日の朝の目覚め用に好きな飲み物を用意してくれると言う。
文子はトマトジュース、僕はオレンジジュースをオーダーするとどちらも2本づつ持ってきてくれた。
二人だけになると興味深々で部屋の中を見て回る。
お風呂は源泉そのものの掛け流しなので自分でうめないと熱くて入れない。
浴衣のまま湯温を確かめてからお入り下さい、と書いてある。
浴衣か作務衣に着替えて貸し切り露天風呂へ行こうとしたところ、洗面所にアブが一匹入り込んでいるのを発見。
自然を残して離れにしたのは良いけど、こういう虫が多いことだけが欠点だ。
フロントに電話すると直ぐに退治しに来てくれた。

貸切の露天風呂は4箇所もある。
川沿いに2箇所と離れの側に2箇所だ。
いずれも無料で鍵もない。
入浴中という看板を出しておくだけのこと。
川沿いの露天風呂に行ってみるが2箇所とも一杯。
残りの2箇所を回ってみたら1箇所だけ「朝かぜ」というところが空いていたのでそこに入る。
隣のお風呂との仕切りはあるが開放感のある四角い形のお風呂だった。
作並温泉のとって付けたような露天ではなく、最初から露天を楽しむために作られたお風呂であることが分かる。
諏訪湖の油屋旅館は屋上の露天で開放感という点では抜群だが、平地でこんな開放感があるのは拾い敷地を有効に使っているからだろう。
排水も環境保護の立場から備え付けのソープ以外は使わない。
それもシャワールームでしか使わないようにされている。
お風呂の帰りにことりサロンと名付けられたサロンへ寄る。
ここのコーヒーは無料で勝手に煎れて良いことになっている。
ところが文子がやってみるとうまく出ない。
結局お湯切れみたいだったけど、係りの人を呼ぶようになってしまった。
部屋に戻っても、こういうところだったら本でも読みながらのんびりと過ごしたい感じだ。
箱根の天山の座敷ぼっこへ行くと、こうしたのんびり感を味わえるが、ここでは個室だからなおさらだ。
文子は裏手の自家菜園を見に行った。

今日の夕食は6時から食事どころ「コの字」で取る。
全部個室になっていて他の客と顔を合わすこともない。
食事のサービスも若い女性たちがサービスしてくれるが、一種のチーム制みたいになっていて一人の人がずっと僕たちを担当する訳ではない。
入れ替わりにいろんな女性が来るが皆にこやかで言葉遣いもとても良い。
この日の食事メニューが紙に書いておいてある。
『「温泉山荘 だいこんの花 葉月のお献立」一、季節の果実入りスパークリングワイン 一、お楽しみ前菜陸(ひじきとにがうり浸し、カリフラワームースおくらキャビア 旬の一口お刺身相馬産天然ひらめ) 一、体にやさしいとうがんと千貝柱のスープ 一、夏の名物料理かぼちゃのフォンデュ 一、どこかなつかしい夏だいこんと蛸の柔煮 一、お好きなほうを(と但し書きがあって次の2種から選択)☆夏の野菜と平田牧場の三元豚グリル ☆三陸産深海がきカクテルソース 一、びっくり!トマト 一、とうきびと雲丹のセイロご飯(自家製漬物 仙台味噌汁) 一、デザート白玉ずんだフルーツゼリー 料理長澤利美』となっている。
お酒は地元の冷酒を頼む。
料理はテーブルに並べられているのではなく、一品一品運ばれて来る。
最初のワインと一緒にメニューにないものも運ばれてきた。
それは採れたての野菜スティックでクシでだいこんに刺してある。
ニンジンときゅうり、それにスティックを刺してあるだいこんも食べられます、ということだった。
このスティックを食べるのに何か調味料がある訳ではなかったが、採りたてのダイコンが甘い、というのを始めて知った。
冷酒はワインのように氷に冷やして運ばれてくる。
前菜のカリフラワームースおくらキャビアというのはキャビアの味しか残らなかった。
相馬産天然ひらめというのは綺麗なグラスに盛られている。
かぼちゃのフォンデュは器もかぼちゃ。
その中がくり抜かれて、そこに熱いチーズフォンデュと同じように冷たいかぼちゃのフォンデュが入っている。
そこにパンや野菜を浸けて食べるのである。
お好きなほうを、というのは文子が牡蠣、僕は豚にした。
でも二人の分、きちんと同時にサービスされるし、食べ終わる頃合いと次の料理が出てくるタイミングも丁度良かった。
びっくり!トマトというのは見た目はただのトマト。
でもその中に肉詰めみたいに入っている。
ごはんは雲丹のせいろご飯になっているが雲丹だけは生で食べたかった。
どれもこれも皆特徴があって良く考えられていると思った。
肉や魚も出てくるが、全体としては野菜が主役を果たしている。

結局6時から食べ初めて7時半まで食べていた。
一旦部屋に戻って休む。
僕は8時からフットマッサージを予約してあるのでことりサロンに行く。
サロンの隣にアロマエステがある。
僕と同じ時間にやはりフットマッサージをする奥さんが一人いた。
マッサージ台は2台あるので同時に二人できるが、カーテンで仕切られているので姿は見えない。
フットマッサージを受けるのも初めてだったが、ツボがあって気持ち良かった。
マッサージされて痛かったところは肝臓と腎臓のところ。
いつもプラズマで言われるのと全く同じだった。
部屋に戻って部屋のお風呂にも入ってみる。
ここは板塀で囲われてしまっているが円形のお風呂だった。
夜10時過ぎに夜食が無料でサービスされるのでことりサロンに行く。
今日の夜食はじゃがいもの蒸したものとトコロテンだった。
寝る前に昼間入れなかった川沿いの貸切露天を見に行くと空いている。
文子は先に入って門を閉め、僕は部屋までタオルなどを取りに行った。
この川沿いのお風呂は二つあり、遠い方が「通り雨」。
近い方が「雪待ち」と名付けられている。
ここへは渡り廊下から別通路が長いので、そのエントランスの途中に木の枝で作った門があり、それが閉まっていれば誰かが入浴中ということになる。
通り雨はエントランスからもう少し歩く。
そこに小さな脱衣所と石造りのお風呂があるだけ。
でもここは森に囲まれた中にお風呂だけだから開放感から言ったらどこよりも最高。
右手下には川が流れていて、裸のままそこまで降りられるほどだ。
暗い森の中の温かい温泉。
照明が脱衣所と浴槽のそばにあるが、月の光のように温かくやらわかさを感じる。
二人だから良いけれど一人では寂しくなってしまいそうだ。


8月28日(日)晴れ、東京は晴れて暑い。

今回の旅行は僕だけ早く目が覚める、ということがなかった。
今朝も文子とほぼ同じに目覚めたので、貸し切り露天に行く。
昨日の夜入った渡り廊下の一番奥の、河原の貸し切り露天も朝の時間は誰もいない。
「通り雨」の方に浸かって温まったあと、もう一つのお風呂「雪待ち」にも行く。
ここは今朝始めて入るお風呂だが、目隠しが薪を積んで作ってあったりして、上手なやり方だと思った。
このお風呂も川に近い。
お風呂に浸かっていても流れが見えそうなくらいだ。
でも渡り廊下からのエントランスが長い分だけ奥の「通り雨」の方が良いと思う。

朝食まで時間があるので自家菜園へ行ってみる。
菜園の途中に小さなテーブルがあり、採りたての野菜とハーブが置いてある。
通路の脇には地面に火が焚かれお湯が沸いている。
ここからお湯を汲んでハーブティを作るらしい。
文子が一つ作ってみる。
菜園はそんなに広い訳ではないがキュウリ、トマト、ピーマンなどがなっていた。
通路はその先で終わり、畑に降りる。
畑もすぐ終わり露天風呂のところを流れていた川にぶつかって終わりになる。

旅の最終日の朝食は昨日と同じコの字へ行く。
でも席は昨夜と違って中庭が見える方向だ。
朝食の時間も遅く8時半からである。
席が決まると入り口の近くにバイキングの料理がいろいろ置いてあるので取りに行く。
僕も今日は和食。
でも、そんなに多くは取ってこない。
席に戻ってからサービスの女性が厚焼き玉子とかバイキング以外のものを持ってきてくれる。
ゆっくり食事をして部屋に戻る。
チェックアウトも11時と遅い時間まで大丈夫だ。
この宿にはお金さえあればもう1泊して行きたいくらいだ。
そうしたらどこにも行かずにこのままのんびりしていたい。

そういう思いを振り切って出発。
フロントへ行くとフロント脇の囲炉裏でオカキを焼いている。
会計を済ませたあとそこに座ってお茶とオカキを頂く。
改めて挨拶して門を出ても、昨日迎えてくれた時と同じようにみんなで送ってくれる。
チェックインから出発まで本当に気持ちの良い宿だった。
僕の中では今まで行った宿の中の最高ランクに入る宿だ。

今日の予定は特になし。
ひたすら自宅に向かって帰るだけ。
カーナビを川口料金所にセットすると東北道の白石インターから乗る道が表示される。
だいこんの花が良かったのでまだ余韻に浸っている。
だから自分の中では、前回の裏磐梯の時のようにどこかの日帰り温泉に寄っていく、なんて考えは全然出て来なかった。
白石インターの近くでガソリン補給。
これ1回で秦野まで持つはずだ。

白石インターに乗ったのが11時40分頃。
日曜日だというのに東北自動車道は順調。
国見のSAで簡単な昼食。
僕はラーメン、文子は山菜そばだった。
ここで最後のお土産を仕入れてからは東北道を順調に走る。
日曜日なので追い越し車線をのんびり走る馬鹿なヤツが時々現れるがみんな左側から抜いてしまった。
宇都宮を過ぎると3車線になるが車の量も増えてくる。
都内の首都高速通過に備えて羽生のSAに入ったのは2時半だった。
首都高速は来たときと同様、僕の手作りの首都高速ガイドを文子に読んでもらいながら通過。
手作りでもちゃんと間違いなく湾岸線にまで戻ってくることができた。
帰路で一番渋滞したのは横浜に入ってから。
保土ヶ谷バイパスの渋滞だけは避けることができなかった。
東名に乗ればもう帰ったも同然。海老名のSAでトイレタイム。
ここで4時15分というのは夕食には早過ぎるので帰ることにする。
でも、厚木秦野間で事故という標識があったので厚木で降りる。
最後の最後に自宅まで1時間ほどを要したが、それでも明るいうちに帰り着きキャンプ用具もその日のうちに下ろすことができた。


2度目の東北地方は台風に遭遇しキャンプはできなかったが、蔵王では台風一過の晴天で展望にも恵まれた。
今回のコースから、山形県の山寺が近い、というのも発見だったし次には山形や岩手にも脚を伸ばしてみたいものだ。
青森にある八甲田山や文子が行きたがっている不老不死温泉まではまだまだだが、定年になるよりも先に一度は訪問しておきたいところだ。
でも、山寺はともかく、それより遠いところは新幹線や飛行機の方が良いかもしれない。

蔵王 お釜

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